2015年11月8日日曜日

2015年シーズンラストランその2

農道からr97へ入りそのまま南下するルートを選ぶ。
洞爺湖に行く場合このルートを選択する人間は少数派だろう。
多くの人はR230に入り留寿都経由で洞爺湖北岸へと到達するだろう。
洞爺湖温泉街に行くのが目的であるならそれでもいい、だが自分のように洞爺湖を周遊するのが目的の場合だと北岸へ入るルートではダメなのである。
洞爺湖を完全に1周するならいいのだが、温泉街を走らずに壮瞥方面へと抜ける、しかしなるべく湖岸を周遊するというわがままな人間は洞爺湖西岸のr578が始まる部分から走り出すのだ。

洞爺湖畔へと降り立ったCB1100
西岸のR230は外輪山を駆け下りるという表現がぴったりだと思う。
スピードを出すわけではない。
むしろじっくりと味わうような速度で走るのが好きだ。
だが遅すぎてもよろしくない。

2時を少しすぎれば斜陽となってしまう。
できればそうなる前に湖畔にたどり着きたく休憩は控えめにしたが、思惑通り1時過ぎに湖畔に降り立つ。
そう、高いところから降りてきたのだ。
その感覚が残っている。

ここからゆっくりと北上して北岸を目指す。
道は狭く大型車はお断り、避難所もあるような道路なので写真撮影に適した箇所は少ない。
そして自分は写真の撮影よりも風景を記憶に残すことのほうを好む。
写真の撮影は単純に記録する以上の意味を持たない。
それらは趣味や仕事で写真を撮っている方々が納得のいくまで行うべきだと思っている。
何年経っても色褪せない記憶がある。
それらは大抵ひどく苦労させられたものであり困難を伴ったものだ。
今であれば笑い話にできるような記憶、充実感、達成感を得られたものはそういった困難を伴ったものだった。
だからというわけではないのだが、誰もが走るような国道ではなく道道を走り、あえて遠回りをして目的地を目指し、この先砂利道の標記があればそのまま突入してしまうのである。

そんなとりとめのない事を考えながら走るのもまた楽しい。
見通しの悪いコーナーでダンプがこないことを祈りつつ良い写真が撮れそうな場所を確認する。
おいおい言ってることとやっていることが違うだろうと思われるが、1枚くらいは記録のために撮影する。
そして撮影するならよいほうがいいというだけだ。
そうして見つかったのが定番の浮見堂となった。

洞爺湖西岸より
浮見堂の奥に見えるのは中島だ。
この時もバイクと浮見堂のことしか見えておらず、写真をアップロードするまで中島があることに気が付かなかった。
こういう理由から自分は写真撮影に向いていないのが伺える。

胆振の空は晴れていて風はほぼ無風。
驚くほど湖面が凪いでいた。

東岸の発電所の近く、紅葉のシーズンであれば落ち葉を舞い上げて走る場所もすっかり葉が落ちてしまっていた。
この場所はお気に入りで本来であればこちらで撮影しようと思っていたが、この状態では撮らないほうがいいだろうと判断。
走り抜けて壮瞥のセイコマへと入る。

あまり入らない壮瞥のセイコマだが、ここにはセイコマ・郵便局・GSが短い距離で集中しており補給を行うには最適だということに今更ながら気がついた。
豊浦を経由しないルートだと壮瞥で休憩も悪くないと思った。

r922を走り昭和新山を見ながら北湯沢方面へと抜ける。
R453の工事はかなり進んでいて来年には蟠渓から北湯沢は長流川の反対側を走ることになりそうな気がした。
大型車がまともに交差できない狭隘な橋部分などの難所が改善されるのはありがたいが、また一つ酷道が消えゆくのは何とも寂しいものだと思う。

さて、ここまできた時点で支笏湖を経由して帰れるだけの時間はなく、中山峠を越えるルートも凍結の危険性から却下された。
となるとR276で倶知安まで戻るというルートになる。
できれば日が落ちる迄に戻りたかった。
何しろ寒い。
胆振はまだ暖かいが後志は寒い。
なのに…それなのに…
便意の強襲により大滝の道の駅のとなりのきのこ王国へ…
数日調子のよろしくなかった腹が限界に達しました。
ややしばらくトイレにて戦ってみると、傾いた陽が見えるでござる。
とりあえずコーヒーを飲みながら途方に暮れてみる。
そしてそのまま走りだす。

R276を喜茂別川に向かって走ってすぐに鈍足車に捕まる。
急いでいる時はいつもこうだ。
そうなればやはりいくしかないのだろう、r695へ。
まるで何かを忘れ去られたような場所、伊達市大滝区清原町。
もう少し前であれば路面いっぱいにバッタがいて、バイクが飛び散ったバッタまみれになりエンジンとラジエーター(オイルクーラー)付近ではバッタ焼きが大量に出来上がるのだがさすがにこの寒さでは死滅したようだ。
薄く霞んだ空気の中を走り抜ける。
ここはそもそも入口を見落としやすく地元の人間か用がある人間以外立ち入らないような場所だ。
当然対向車というか交通量そのものが少ない。
加えて見通しもよく動物の類が飛び出してくるような箇所も少ない。
追禁区間は存在せず路面状況も悪くない。
つまり流して楽しい道路でありR276を走るよりずっと楽しい道路なのである。
入口さえ見逃さなければ…
自分でさえたまに見逃すことがあるほどで、最初から走る気まんまんでなければ入るのはじつに難しい。
それほどの価値のある道路なのかと問われると微妙だが、今日はまあ良いものが見れました。

r695より尻別岳
ここよりもう少し進むと尻別岳と羊蹄山を同時に見ることができるポイントがある。
その風景は今日も見ることができたが撮影はしていない。
その風景を見ながら走るのが楽しいからだ、寒かったが…

行きは羊蹄山の東側を道道で走ったので帰りは国道を走る。
倶知安まではまだ晴れているがこの先は曇っていそうだ。
気温はどんどん低下してジャケットの隙間から冷気が忍び込んでくる。
すっかり暗くなってきた。
R393を通り赤井川に着く頃にはもう真っ暗になっているだろう。
だがそれでもよかった。
今日を走ることが出来てよかった。
最後に走ることが出来ずにシーズンを終えてしまった年の、あのなんともやりきれない思いだけは味わうことはない。
最後を思い残すことなく走ることができるのは、とても幸せなことだと理解した。

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