それ以前はクシタニのステアグローブを使っていたのですが、シーズンが終了してクリーニング屋に出したところ、死亡して戻ってきたので買い換える必要が出てしまったのです。
クシタニのステアグローブは自分がグローブに要求するものをほぼ満たしていました。
サイズ(自分は手がでかいのでLL)
装着感(慣らしがいらないほど手に馴染む)
操作性(1.3ミリの厚さで驚くほどのダイレクト感)
外縫い(内縫いのグローブは嫌いなため)
ベージュの設定がある(グローブは素の色が好き)
唯一の不満点は手首のベルクロで、脱着する際にワンアクションで出来ないということだけでした。
しかしこれはほとんどのミドル丈の3シーズングローブで適用されている仕様であり、そうではない物のほうが珍しいとも言えます。
その珍しい物が目に入ったのはシーズンオフ中のこと。
旅具屋さんがJRPさんのアウトドアグローブ・WTNの別注モデルを販売開始するというニュースを見たのが最初でした。
すでにそのページはないのですが、現行のアウトドアグローブと異なる点は
難燃糸を使用しているということ
色の設定が初期はタン。しばらくしてブラックとベージュが追加されたこと
グローブは必ず買わなければならない予定でした。
当時はそれほど余裕があったわけでもなく、シーズンオフでもあったので急いで買わなくてはならないわけでもなかったのですが、自分は気に入って注文しました。
届いた品はちょっと臭う。
今でもちょっと臭う厚手の革(1.5ミリ)。
しかしクシタニのステアグローブ同様に、手にはめたその瞬間から驚くほど馴染み、そのサイズはオーダーメイドしたかのようにぴったり。
何より気に入ったのは手首の部分。
固定用のベルクロなど一切ないにも関わらず、脱ぎ履きするのに困らない程度の締め付けがあり、転倒しても容易に脱げないように出来ている(実際に転倒して脱げたことはありません)。
ワンアクションで脱着可能でありながら不意の出来事からはしっかり守ってくれる。
唯一ステアグローブに劣っているのは操作性。
これは革の厚みが増した分しかたないと言える。
だがその厚みでカバーした部分もある。
林道で時に枝を切り、草を伐採し、岩を崖下に放り投げる必要がある自分には、その厚さが頼もしかった。
このグローブは、自分のツーリンググローブに必要なものを全て持ち合わせていた。
オーダーメイドでグローブを作ることが可能であれば、このグローブと同じものが出来上がるだろうというほどに完璧だった。
そんな完璧なグローブだが、タンはつまり染めていない革であり、見るも無残に汚れ果て、エマールで2回ほど洗ったりもしてみたが、とうとう左手中指の裏側の革がヤスリみたいになり、クラッチを切る度に指の皮が削られるような状況になったので新しいグローブの購入に踏み切った。
JRP アウトドアグローブ WTN LLサイズ |
同じではあるが同じではないグローブ。
驚いたことに洗える革の表示がある。
商品詳細にもまったく記述されていないのでこれは本当に驚いた。
旅具屋さんの別注モデルには洗える表示はなかった(と思う)。
ちなみに鹿革ではなく牛革だ。
エマールで洗うのは止めたほうがいい。
箱に貼ってあるシールの印刷が滲んでいるのは、運んでいる最中に雷がなってとんでもない雨に打たれたからだ。
元はしっかりと印字されているのでご安心を。
古い、というかくたびれ果てた別注モデルと並べてみた。
左手裏側 |
右手表側 |
色の指定はブラウン一色だけしかない。
JRPのサイトではずいぶん発色が悪い状態で撮影されたようで、実物はしっとりとした何とも素敵な風合いだ。
御覧頂いているように、裏側の汚れが凄まじい。
染めていないグローブは汚れ、特に油系の汚れに弱く、染み込んでしまい洗ってもとれない。
これはステアグローブでも同じことが起こった。
なので次に購入する時はブラックにしようと思っていたのだが、旅具屋さんでの取扱がなくなってしまい残念に思ったものだ。
装着してみると裏側の感覚が柔らかい。
それに、少し大きく感じる。
古いグローブはいつの間にか、太陽の光を浴び、雨に打たれ、少しだけ縮んでしまったのだろう。
それは痩せてしまったと言えるかもしれないし、薄くなってしまったと言えるかもしれない。
落としたり踏んづけたり、叩いたり握ったり、グローブの環境は過酷そのものだ。
上でも書いたが、このグローブは自分が望むもの全てを有している。
オーダーメイドでグローブを作ったら、これと同じものが出来上がるだろう。
それはとても幸運なこと。
願わくは、いつまでもこのグローブが販売されますように。
Thank you JRP
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